個人事業を法人なり(会社設立)する理由の1つに社会保険の保険料があります。第1号被保険者の場合、基本的に国民健康保険になりますが、財政難を反映して高い保険料が設定されています。
国民健康保険には「被扶養者」の概念がないので家族の人数分の保険料がかかてきます。
国民健康保険の保険料率
国民健康保険の保険料率は市町村によって異なります。
以下は私の居住する市の平成26年度の保険料率等です。
「保険料率等」とあるのは、所得にかかる「所得均等率」と、家族1人あたりにかかる「均等割額」と一世帯あたりにかかる「平等割額」があるからです。
①所得割料率…医療分:7.84% 支援分2.23% 介護分:1.93%
②均等割額…医療分:1人25,510円 支援分:1人8,299円 介護分:1人13,076円
③平等割額…医療分:1世帯21,702支援分:1世帯5,965円 介護分:なし
ここでいう「所得」は「事業所得」-33万円で計算します。
国民健康保険の保険料の計算
実際に国民健康保険の保険料(年額)を計算してみます。
ここでは、夫婦(いずれも40歳以上、配偶者は専業主婦)で子供は20歳未満とします。
※下記の①②③は上記の番号と連動しています。
[ケース1]「事業所得」が150万円の場合
①(1,500,000円-330,000=)1,170,000円×(7.84%+2.23%+1.93%=)12%=140,400円
②(25,510円+8,299円)×3+13,076円×2=101,427円+26,152円=127,579円
③21,702円+5,965円=27,667円
保険料=①+②+③=140,400円+127,579円+27,667円=295,646円
[ケース2]「事業所得」が300万円の場合
①(3,000,000円-330,000=)2,670,000円×(7.84%+2.23%+1.93%=)12%=324,400円
②(25,510円+8,299円)×3+13,076円×2=101,427円+26,152円=127,579円
③21,702円+5,965円=27,667円
保険料=①+②+③=324,400円+127,579円+27,667円=479,646円
[ケース3]「事業所得」が500万円の場合
①(5,000,000円-330,000=)4,670,000円×(7.84%+2.23%+1.93%=)12%=560,400円
②(25,510円+8,299円)×3+13,076円×2=101,427円+26,152円=127,579円
③21,702円+5,965円=27,667円
保険料=①+②+③=560,400円+127,579円+27,667円=715,646円
上の例では計算をしやすいように①+②+③で合計保険料を計算したのですが、実際の計算は医療分+支援分+介護分で計算され、各々に賦課限度額があります。
医療分:510,000円 支援分160,000円 介護分:140,000円
さらに年額の総額にも上限金額があります。
法人の健康保険との比較
次に国民健康保険と法人の健康保険(通常は全国健康保険協会に加入)の保険料
を比較してみます。
全国健康保険協会の保険料も都道府県によって異なります。
ここでは保険料率(介護保険料率含む)を国民年金保険の所得割料率と同じく12%で計算してみます。
ただし、協会けんぽの場合、国保のような「基礎控除額」はありません。
[ケース1]
a.「事業所得」が150万円の場合:295,646円
b.「給料」が150万円の場合:1,500,000円×12%=180,000円
[ケース2]
a.「事業所得」が300万円の場合:479,646円
b.「給料」が300万円の場合:3,000,000円×12%=360,000円
[ケース3]
a.「事業所得」が500万円の場合:715,646円
b.「給料」が500万円の場合:5,000,000円×12%=600,000円
上記のケースではb.において被保険者と事業主の負担する保険料を合算して計算していますが、事業主=被保険者である場合、負担は同じなのでこの額で比較します。
健康保険の保険料だけを比較すると、圧倒的に法人の健康保険の方が安いことが分かります。
実際には保険料率そのものも法人の健康保険の方が低いので保険料の額はさらに差が開きます。
そして、単に保険料の違いだけでなく受けられる給付も法人の健康保険の方が優遇されています。
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