役員の退職金準備と会社の節税対策として私が注目しているのが「低解約返戻金型逓増定期保険」。
「逓増定期保険」は保険料の1/2ないし1/3が損金扱いになり、節税効果がある。
役員の退職金支払時期に合わせて解約する事で「解約返戻金」を受け取ることで、退職金の原資にすることができる。また、役員が死亡した時にも保険金がおりる。
ただし、問題は、保険料の損金にできる割合と「解約返戻金」のピーク時期だ。
どのタイプの「逓増定期保険」を選べば良いのだろうか?
一番お得な保険プランの選び方とは?

保険料の損金処理

過去には保険料を全額「損金」扱いにできた法人保険もあったようだが、現在はないらしい。※「掛け捨て型」は100%損金。

現在は、1/2ないし1/3といったところだが、損金割合は減る方向にある。

というのは、損金に参入できる割合が高くなればなるほど、法人税が安くなるからだ。
これは、国としては望ましくない。
そこで、損金割合を縮小する方向に進んでいる。

ただ、単純に損金割合だけで保険を選ぶことはできない。

損金に算入できる割合で、1/2と1/3ではどちらの方が良いかというと、当然、より多く損金扱いできる1/2だ。

しかし、問題は「出口」。
「解約返戻金」をいつ受け取るか?

「解約返戻金」を使う当てもなく受け取ると「雑収入」となり、法人税の対象になる。
これでは、過去、損金算入して利益を圧縮してきた意味がない。

当然、「解約返戻金」を受け取るのは「退職金」の支払時期となるのが理想。
「解約返戻金」=「退職金」であれば、「雑収入」と「支出」が打ち消され、法人税はかからない。

但し、「解約返戻金」のピークは保険プランによって異なる。

「解約返戻金」のピークとは?

先日、「保険百花」の店頭で、「逓増定期保険」の試算をしてもらった。

保険プランは、①1/2損金と②1/3損金。


[メリット]
損金算入が多い。

[デメリット]
「解約返戻金」のピークの期間が短い
「解約返戻金」のピーク時の割合が100%でない。

[どちらでもある]
「解約返戻金」のピークに至るまでの期間が短い


[メリット]
「解約返戻金」のピークの期間が長い
「解約返戻金」のピーク時の割合が100%以上。

[デメリット]
「解約返戻金」のピークに至るまでの期間が長い。(10年~)
1/2損金算入に比べると少ない。

損金計上されない保険料の処理

損金扱いの割合が1/2であろうと1/3であろうと、損金計上されない保険料が発生する。

この処理はどうなるのか?

これは「経費(支払保険料)」ではなく「資産(保険積立金)」に積み立てられる。
要は会社にお金がある状態。
※保険代理店でもらった資料には、次の仕訳になっていた。数字は分かり易いように修正。1/2損金のケースの処理である。
(借方)
前払保険料 500
定期保険料 500
(貸方)
現金・預金 100

逆に言えば、「支払保険料」は「簿外資産」となり、社外に資産がある状態。

どの保険プランが得か?

さて、①と②のプランではどちらを選択する方が得なのだろうか?

これに関しては、次の2点が関係してくるので一概に、どちらが良いとは言えない。
[1]会社の利益は毎年いくら?
[2]退職金の支払い時期はいつ?

そしてもう1つの目安が「実質解約返戻率」。

「実質解約返戻率」は「解約返戻金」÷「実質負担額累計」である。
「実質負担額累計」とは、「保険料累計」-「軽減税額累計」。
「軽減税額累計」は「損金算入累計」×税率で算出する。

「実質解約返戻率」が高い方が得だが、100%以上であれば損をしていないということだ。

以上の3点を検討して一番、特になるプランを選べば良いだろう。

[PR]

税理士ドットコム
利用者実績No.1の税理士紹介サービス!
無料でご要望に合った最適な税理士をご紹介!
詳細>>税理士ドットコム