新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、中小企業者の資金繰り支援措置する為、経済産業省は民間金融機関においても、実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資を可能とする支援を始めています。
民間金融機関の実質無利子・無担保融資を分かりやすく解説します。
※厳密には「利子」と「利息」は異なるが、世の中では混同して用いられています。
当記事では借りる側の立場から「利子」と統一しております。

「民間金融機関」とは?

日本の金融機関は中央銀行(日本銀行)、民間金融機関、政策金融機関(公的金融機関)に大別されます。

●中央銀行(日本銀行)
●民間金融機関
●公的金融機関

中央銀行(日本銀行)

日本銀行は、政府の委託を受け、国のお金を管理している。
民間金融機関及び政策金融機関のお金を預かったり、貸したりする。

民間金融機関

個人や企業にお金をお預かり、融資する。

民間金融機関は具体的には以下があります。

●預金を取り扱う普通銀行:都市銀行、地方銀行、第二地方銀行
●長期金融機関:信託銀行
●中小企業金融専門機関:信用金庫、信用組合、労働金庫、商工組合中央金庫
●農林漁業金融機関

銀行

政策金融機関(公的金融機関)

政策金融機関(公的金融機関)には以下の2つ。

●日本政策金融公庫(略して「日本公庫」)
●商工組合中央金庫(略して「商工中金」)

民間金融機関の補完的な役割を持つ。
※「コロナ融資」関連記事⇒「日本政策金融公庫」コロナ融資の金利・書類・申込方法をわかりやすく解説

「民間金融機関」の実質無利子・無担保融資とは?

利子と利息の違い

お金を借りた時に払うのは利子?それも利息。

厳密には以下になります。

●利子:お金を借りた側が支払う
●利息:お金を貸した側が受け取る

利子も利息も同じ金額の裏表である。
従って、世の中では利子と利息が混同して用いられている。
※当記事では、借りる側の立場から「利子」という言葉で統一している。

さて、本題である。
民間金融機関において実質無利子・無担保融資に関しては、経済産業省の下記のページに内容が記載されている。
民間金融機関において実質無利子・無担保融資を開始します【経済産業省】

対象者の要件

以下の売上減少の要件を満たし、セーフティネット保証4号・5号※、危機関連保証いずれかの認定を受けていること。

売上高▲5%売上高▲15%
個人事業主(事業性のあるフリーランス含む、小規模のみ)保証料・金利ゼロ
小・中規模事業者(上記除く)保証料1/2保証料・金利ゼロ

※セーフティネット保証5号の業種については、5月1日をもって全業種を指定

その他の要件

●据置期間等:最大5年・無担保(経営者保証は原則非徴求)
●融資上限額:3000万円
●補助期間:保証料は全融資期間、利子補給は当初3年間

さらに詳しく見ていきます。

「民間金融機関」の実質無利子・無担保融資の補足解説

銀行から融資を受ける場合、通常は以下のモノが必要です。

●利子
●担保
●保証人

担保・保証人を立てない時は「保証料」が必要となります。
※身近なところでは住宅ローンや家賃の保証料などがあります。

今回の「民間金融機関」の実質無利子・無担保融資では、担保・保証人の代りに「保証料」が原則必要となります。

●利子
●保証料

しかし、「国が補助を行う都道府県等による制度融資において、セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証のいずれかを利用した場合に、以下の要件を満たせば、保証料・利子の減免を行います。」とあるので、要件を満たすと以下になります。

●利子⇒金利ゼロ
●保証料⇒ゼロ又は1/2

ここで、分かりにくいのは、「セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証」という用語です。

「セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証」とは?

セーフティネット保証4号とは?

中小企業庁のHPには以下の記述があります。

突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置です。次のいずれにも該当する中小企業者が措置の対象となります。

申請者が、下記の指定を受けた地域において1年間以上継続して事業を行っていること。
下記の指定を受けた災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高。以下「売上高等」という。)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
参照:セーフティネット保証制度(4号:突発的災害(自然災害等))【中小企業庁】

経済産業省のHPにも「セーフティネット保証4号の概要」というページがあり、こちらの方が簡潔で分かりやすいですね。
セーフティネット保証4号の概要【経済産業省】

ポイントは以下になります。

●原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる
●信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証
※売上高などの減少について、市町村の認定が必要

セーフティネット保証5号とは?

ポイントは以下です。

●全国的に業況の悪化している業種
●最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少
●信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証

参照:セーフティネット保証5号の概要

危機関連保証とは?

「危機関連保証」に関しては、「信用保証協会」のHPに記載があります。

ポイントは以下になります。

●全国・全業種※の事業者
※一部保証対象外の業種あり
●売上高が前年同月比▲15%以上減少する中小企業・小規模事業者
100%保証

参照:危機関連保証

「セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証」比較表

セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証の内容を見てきました。
以上をまとめると以下になります。

SN4号SN5号危機関連保証
対象指定地域の業種全国的に業況の悪化している業種*全国・全業種(一部保証対象外の業種あり)
売上減少最近1ヶ月間の売上高等が前年同月に比して20%以上減少、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少最近1ヶ月間の売上高が前年同月比15%以上減少、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれること。
保証割合100%保証80%保証100%保証
認定申請*市町村市町村市町村
指定期間など令和2年9月1日令和3年1月31日

※SN=セーフネット保証
*5月1日をもって全業種を指定
*認定申請は金融機関が代行可

「民間金融機関」で実質無利子・無担保融資を受ける手順

民間金融機関において実質無利子・無担保融資を受ける要件は分かりました。
具体的にどのような手順を行うのでしょうか?
これに関しては下記に記載があります。
民間金融機関における実質無利子・無担保融資

申請に必要な書類

民間金融機関における実質無利子・無担保融資の申請には以下の書類が必要です。

●市町村認定書(セーフティネット保証4号・5号、機器関連保証のいずれか)
●金融機関必要書類
●保証協会必要書類
※具体的にどのような資料が必要となるかは、各金融機関へご相談下さい。

申請の流れ

「民間金融機関がワンストップで効率的、迅速に申請手続きを行う」とされている。
民間金融機関で実質無利子・無担保融資を受けるには、まず、取引のある又は近くの金融機関に相談する。

そして、民間金融機関で実質無利子・無担保融資には、民間金融機関を含め以下の団体が関わることになる。

●金融機関:融資を行う
●市町村:認定書発行
●保証協会:保証審査
●都道府県:利子補給

「民間金融機関」一覧

「民間金融機関」と言っても、実際に中小企業に融資を行うのは信用金庫が中心になる。
実質無利子・無担保融資を行う「民間金融機関」の一覧表は、以下のページに記載がある。
実質無利子・無担保融資を支援する民間金融機関一覧表【日本政策金融金庫】

民間金融機関における実質無利子・無担保融資【まとめ】

民間金融機関における実質無利子・無担保融資について見てきました。

民間金融機関で融資を受けるには、通常、利子と保証料が必要です。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により売上が減少した場合、要件を満たせば、利子と保証料が実質無利子・無担保になる可能性があります。

その為には必要な書類を揃え、金融機関に融資を申込む必要があります。

その場合、ネックは金融機関必要書類です。
金融機関必要書類には確定申告書・決算書などが必要です。
確定申告書・決算書の作成等は専門家に任せるのが一番です。
さらに、融資には「審査」がつきものですが、「審査」に明るいのも税理士です。

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