合同会社には株式会社と違って「役員」という肩書はない。
すべて「社員」。
しかし、「社員」には種類がある。
ここでは、「業務執行社員」のことを仮に「役員」と呼ぶことにする。
合同会社の「社員の種類」については⇒合同会社の社員・代表社員・業務執行社員の違い
合同会社の役員の退職金の決め方とは?
合同会社における「退職」とは?
「退職」を何故、問題にするのか?
それは「退職金」と関わっているからだ。
株式会社での「退職」
株式会社の場合、「退職」扱いとなり、「退職金」が貰えるのは次のケース。
①従業員⇒役員(取締役)
②役員⇒退職
では、次のケースではどうなるのか?
役員⇒代表取締役(社長)⇒会長
これについては調べていないので何とも言えない。
ここでは、合同会社における「退職」を取り上げる。
以下は司法書士の見解。
合同会社での「退職」とは?
「代表社員」又は「業務執行社員」から「業務執行社員」でない「社員」になった場合、役員退職金の支給が可能。
「社員」から出資をしない「従業員」になった場合、退職金ではなく、出資持分をその社員だった方に返却するという考え方が相応しい。
よって、出資しない従業員となったことによる退職金としての支払いは経費計上として認められない。
ただ、これは1つの考え方で、税務署がどう判断するかは別のよう。
中々、スッキリしない話だ。
確実なのは、一般的な「退職」に当たる、会社を辞めた場合は「退職」扱いになり、退職金が支給されるということ。
この場合、出資金は「払い戻し」か誰か(社員等)に「譲渡」ということになろう。
税務署の見解は?
尚、「退職」は形だけでなく「事実上」退職していることが必要、というのが税務署の見解。
「代表社員」又は「業務執行社員」から「業務執行社員」でない「社員」になった場合、退職金規定があり、同業他社と比べて「過大」でなくても、「事実上」退職しているとはみなされない場合は否認される可能性大。
役員の退職金の決め方
役員の退職金の算出方法についは以下の内容が一般的。
役員退職金=①退職時の役員報酬月額×②役員在任年数×③功績倍率(+④功労加算)
②役員在任年数
「10年3か月」とか、1年未満の端数はどう扱うのか?
これについては切り上げで良いそうだ。
③功績倍率
ここが一番問題
会長・社長は3倍、専務・常務は2.5倍、取締役は2倍としたものが多い。
ただ、合同会社の退職金関連の本を読むと、同業他社に比べて過大な額である場合、税務署に否認される場合もあるとか。
但し、判例の大半は株式会社に関するもの。
合同会社の場合、株式会社の判例に準じて判断される模様。
いずれにしても、役員退職金規定に算出方法を記載しておいても、いざと言う時に税務署に否認される可能性もあるということ。
中々、難しいものである。
④功労加算
功労加算は役員退職金の30%を超えない範囲が一般的だが、役員退職金は功労加算を含めて3倍までという判例が多いそうだ。
役員の退職金を事前に決める理由
何故、将来の役員の退職金を予め決めておくのか?
その理由は2点。
(i)退職金は退職控除があり、節税(個人)になる。
(ii)退職金を保険等で準備することでその保険料等を会社の経費にでき、会社の節税になる。
退職金の原資としては次のものが考えられる。
・中小企業退職金共済
・中小企業倒産防止共済
・定期保険
役員の退職金を一度に支払えなかったら?
将来の役員の退職金はかなりの額になるので、事前に準備する必要がある。
しかし、準備した原資で足りない場合はどうするのか?
その場合、次の方法が考えられる。
(i)借金をして払う
(ii)分割して払う
役員の退職金の支払いは、2年~3年の間で分割するのであれば、支払うことが可能だそうだ。
ただし、年額は均等でなければならない。
例えば、退職金3000万円を3年に分割して払う場合は次のようになる。
1年目:1000万円
2年目:1000万円
3年目:1000万円
※参考にした本に関する記事⇒「オーナー社長の退職金」内容&口コミ
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