法人保険(低解約返戻金型逓増定期保険)に2016年に契約した。
解約返戻金率は経過年数によって変動するが、8年と9年がピークの95.1%である。
元々、解約返戻金を退職金に当てるつもりで、解約返戻率のピークが高い低解約返戻金型逓増定期保険を契約したのだが、解約返戻金は受取り時に益金(雑収入)となり、うまくやらないと税金を取られることになる。
解約返戻金の受取では出口戦略が必要だ。

法人保険(生命保険)で節税対策

法人保険(生命保険)のメリット

法人保険(生命保険)のメリットは以下の3点。

①保険料の一部が経費に計上できる⇒節税効果
②いつでも解約でき解約返戻金を受け取れる。
解約返戻金を退職金に当てたり、設備投資、赤字を埋めるのに利用できる。
③社員が死亡時は死亡退職金に当てられる。
※死亡保険金は年数と共に上昇し、ピークを迎えるとその後は同額。

法人保険(生命保険)のデメリット

法人保険(生命保険)の解約返戻率は経過年数で変動する。
年数と共に解約返戻率は上昇しピークを迎えると今度は下降し、やがて0になる。

法人保険(生命保険)の現状

法人保険(生命保険)は節税効果が高い為、国税庁は解約返戻率を低く抑える方向にある。
以下は「ほけん百花」で受けた内容だ。
解約返戻率のピークと損金算入できる割合が一律で決まっている。

解約返戻率が70~85%⇒4割損金算入
解約返戻率が70~50%⇒6割損金算入
解約返戻率が~50%⇒全額損金算入

解約返戻率は最高で85%。
その場合、損金算入できるのは保険料の4割と節税効果は低い。

法人保険の解約返戻金の出口戦略

法人保険の解約返戻金の会計処理

法人保険の解約返戻金は益金(雑収入)になる。
但し、全額ではない。
「解約返戻金-損金算入していない金額」だ。

私が8年前に契約した法人保険の場合、

全保険料:約20000万円
解約返戻率のピーク:95.1%
損金算入:1/2

結果、解約返戻率のピーク時に解約すると、

解約返戻金=約20000万円×95.1%=約1902万円
益金(雑収入)=約1902万円-約20000万円×1/2=約902万円

益金を損金で相殺

このままでは約902万円が利益となり税金がかかる。
そこで同額以上の損金を計上することで、益金を損金で相殺しこの益金に係る税金を0にすることが出来る。

損金としては以下が考えられる

①退職金
②赤字の穴埋め
③設備投資など

退職金

役員の退職金は以下の計算で求めるのが基本だ。
功績倍率は最大3倍らしい。
役員退職金=①退職時の役員報酬月額×②役員在任年数×③功績倍率(+④功労加算)
合同会社の役員の退職金の決め方とは?

解約返戻金を役員の退職金に当てる場合、以下の点に注意が必要だ。

①役員の退職時期と解約返戻率のピークを合致させる
②役員の退職金>解約返戻金-損金算入していない保険料の総額

赤字の穴埋め

法人が赤字の場合、解約返戻金を赤字の穴埋めにして、益金を相殺することが可能だ。
この場合も、以下の金額に
赤字>解約返戻金-損金算入していない保険料の総額

ここでは、以下の条件で計算してみる。

全保険料:1900万円
解約返戻率のピーク:85%
損金算入:4割

解約返戻金=1900万円×85%=1615万円
益金(雑収入)=1615万円-1900万円×60%=425万円

従って、このケースでは赤字が425万円以上あると、
益金と相殺され、雑所得にかかる税金は0円となる。

法人保険の解約返戻金の出口戦略【まとめ】

法人保険の保険料の一部は損金計上でき、節税効果がある。

しかし、法人保険の解約返戻金は益金となり、雑所得に税金がかかる。
そこで、大事なのは解約返戻金の出口戦略だ。

益金を損金で相殺

解約返戻金の益金は、解約返戻金-損金算入していない保険料の総額だ。

益金を損金と相殺することで、雑所得を0=税金を0に出来る。

その方法は以下の3つだ。

①退職金
②赤字の穴埋め
③設備投資など

解約返戻率の現状

法人保険の節税効果が高いのは問題というのが国税庁の見解だ。
ピーク時の解約返戻率や損金算入可能な支払い保険料の割合は年々、厳しくなっている。
現状では、ピーク時の解約返戻率は最高で85%。
その場合、損金算入出来るのは支払い保険料の4割。

但し、そもそもピーク時の解約返戻率が85%の保険商品はあるのか?
現在、調べてもらっている。
分かり次第、記事にアップする予定です。

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