『押せば意外に~税務署なんて怖くない~国税OBが教える「税務調査のかわし方」』という本を読みました。
本書では税務調査官と税理士の実態があますところなく公開されています。今まで読んだことのない内容です。
「税務署なんて怖くない」の内容と感想・口コミです。
「税務署なんて怖くない」内容
本書は、税務専門新聞「納税通信」上で連載しているコラム「税務調査の実態と調査官の本音」を加筆再構成したもの。
驚くべき内容ばかり。
まず、税務調査官は税金等の税法に精通していると考えていたが、税法に詳しくない、と著者は主張する。
特に税務署のトップである署長に至っては、現場の仕事はしないので全く税法が分からないとか。
そればかりか、調査官は基本的に勉強をしない。
一方、税理士はどうか?
税理士はOB税理士以外は税理士試験という難易度の高い試験に合格した人たちだ。
しかし、税法すべてに通じているわけではなく、得手不得手がある。
こうした調査官と税理士が税務調査でぶつかった場合、どうなるのか?
税理士が調査官の内情を知らなけらば完敗することになる。
それは、調査官が税務調査のプロだからだ。
そして、それ以上に調査官は会社経営者や税理士の無知につけこんで、行き過ぎたな調査を行うことが多々ある。
そこで、国税調査官の経験がある著者の出番である。
「税務調査の実態と調査官の本音」で調査官の手の内を明かすとともに、実際の調査に立ち会い、調査官に言うべきことは主張する。
また、税理士や経営者にコンサルを行っている。
本書では節税の方法は語られていない。
不正があるなしにかかわらず、まず、調査官と同じ土俵に立つにはどうすれば良いか、74個のケースでその対応等を説明している。
国税調査官と税務調査官の違いとは?
税務調査と言えば、税務署署員、巨額脱税等は国税査察部(マルサ)という認識が私にはあるのだが、本来、税務署は国税庁の下部組織である。
国税調査官と税務調査官の違いとは?
国税庁のHPによると、国税局や税務署において、税のスペシャリストとして法律・経済・会計等の専門知識を駆使し活動している専門家を称して国税専門官と言うらしい。
国税専門官はさらに、次の3種に分かれる。
①国税調査官
納税義務者である個人や会社等を訪れて、適正な申告が行われているかどうかの調査・検査を行うとともに、申告に関する指導などを行う。
②国税徴収官
定められた納期限までに納付されない税金の督促や滞納処分を行うとともに、納税に関する指導などを行う。
③国税査察官
裁判官から許可状を得て、悪質な脱税者に対して捜査・差押等の強制調査を行い、刑事罰を求めるため検察官に告発します。
この説明で見る限り、税務調査をするのは「国税調査官」となる。
ネットで調べると「税務調査官」という言葉も出てくるが、これは税務調査を行うということを強調した言葉のようだ。
税務署に所属するのが「国税調査官」という認識で良いようだ。
※所在の話。
「税務署なんて怖くない」感想・口コミ
Amazon口コミレビューでは5つ星のうち 4.3(7件)と高評価である。
元国税調査官をうたう節税の本は多いが、本書のような内容のものは初めて。
「よくぞ書いてくれた」と評価したい。
いかに国税調査官が官僚的で事なかれ主義か、また、面倒なことを嫌う怠け者か、国税調査官の実態がこれでもかというほど明らかにされている。
まともでない調査官と渡り合うには、調査官の内情をしった税理士が頼りになるわけだが、多くの税理士は試験を突破して資格を取った人なので
内情には暗い。
いきおい、著者のような人材が歓迎されるわけだ。
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