役員報酬の変更には制約があります。
それは期首から2ヵ月以内にしか変更できないということです。
その点、従業員の給料はいつでも変更できます。
ただし、いずれにしても年金事務所に変更届が必要です。
役員報酬を期中に変更できない理由
上記のように、役員報酬は期首(2ヵ月以内)にしか変更できません。
では、期中に変更したい時はどういう時は?
それは利益が出ている時です。
私の場合、昨年1月に個人事業を法人化しました。
ところが、2月に売上が激減(というかゼロに近くまで)し、給料を払えなくなりました。
といっても、私と家内の2人分です。
貯金があったので給料をそのままにしても構わなかったのですが、給料が高いとその分、社会保険料もかかります。
これが結構な負担になります。
そこで、年金事務所に相談し、期首より2ヵ月以内ということもあり、最初から役員報酬を10万円(標準報酬月額)だったことに修正しました。
※この金額だと源泉徴収もありません。
ところが、その後、頑張ったおかげで売上が回復し出し、6月には今まで以上の売上が上がるようになりました。
ここで、役員報酬を最初に決めた額に戻したいところですが、それはできないのですね。
役員報酬を上げることは利益操作になり、法律はこれを禁じています。
結局、期末に予想外の利益が出ることが分かり、12月に経費を使いまくりましたが、手違いもあり、大幅な利益が出て、税金をしっかり取られました。
これが従業員の場合は、期中でも給料が変更ができます。
また、賞与で還元することもできます。
この点、役員は賞与を出す事は出来ますが、予め決めておかねばなりません。これも利益操作を禁止する為です。
役員報酬の変更手続
変更手続きは従業員の場合も同じです。
年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額届」を提出します。
報酬が上がる場合と下がる場合とで、添付する書類が違います。
そして届出をする時期にも決まりがあります。
報酬が変更になった月から3か月の平均報酬が従来の報酬より2等級以上等級が変わった場合、4か月目から標準報酬が変更になります。
そしてこれは支払月ベースです。
例えば、1月から報酬が変更になった。
しかし、支払月が翌月の場合、2月、3月、4月の平均を出します。
そして、従来の報酬と2等級以上の差が出た時、5月に標準報酬が改定されます。
即ち、「変更届」は5月に提出します。
そして、5月分の社会保険料は翌月末の6月末に銀行から引落されます。
結局、6月の給料から社会保険料が変更になるというわけです。
役員報酬の変更届けの修正
報酬の変更月のカウントは支払いベースなので、それを間違って、締日ペースで「変更届」を出してしまいました。
本来は2月、3月、4月となるところを1月、2月、3月、改定月も5月となるところを4月としてしまいました。
改定月4月であるならば、5月の給料から新しい社会保険料が適用され、5月末に引き落としされる社会保険料(会社負担も含む)は変更になっていなければなりません。
それが、5月末の引き落し額を確認すると従来と同じ金額でした。
そこで、年金事務所に問い合わせたところ、事の真相が明らかになったのでした。
結局、出し直しになり、「賃金台帳」が必要とのこと。
そこで会計事務所に連絡して、「賃金台帳」の出し方を尋ねたのですが、会計ソフトの管理画面にその項目がありません。
こちらか操作できない設定になっていました。
それをこちらで操作できるような設定に変更してもらい、合わせて5月の標準報酬の訂正もしてもらいました。
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