「300万円以下の副業は雑所得とみなす」と所得税基本通達に明記される予定だ。
パブリック・コメントを経て、令和4年1月から遡って適用される。
これは、令和5年(2023年)の確定申告に関わって来る問題だ。
「300万円以下の副業は事業所得ではなく雑所得とみなす」とはどういうことか?
これにより税金及び確定申告はどうなるのか?
調べてみた。

300万円以下の副業収入は「雑所得」とは?

300万円以下の副業収入は「雑所得」の根拠

事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。
※参照:「所得税基本通達の制定について」の一部改正について新旧対照表【国税庁】

要はサラリーマンの副業の収入金額が300万円を超えない場合には、雑所得とみなすということだ。

そして、改正後の所得税基本通達の取扱いは、令和4年分以後の所得税について適用するというもの。
※参照:「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募手続の実施について【国税庁】

事業所得とは?

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事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。
※参照:事業所得の課税のしくみ(事業所得)【国税庁】

 

雑所得とは?

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。※参照:雑所得【国税庁】

事業所得と雑所得の違い

まずは、事業所得と雑所得の違いをメリット・デメリットから見ていこう。

事業所得のメリット・デメリット

メリット

●損益通算
事業所得の最大のメリットは「損益通算」にある。
事業所得が赤字の場合、本業がサラリーマンの場合、給与所得と「損益通算」することで、個人の所得税及び住民税を圧縮(安くする)ことが可能であった。

このスキームを用いて所得税及び住民税を0円に方法もあった。

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●青色申告特別控除
また、事業所得は青色申告特別控除が適用されると、節税効果が高い。

●純損失の繰り越し可
事業所得を青色申告している場合は、純損失の繰越しができる。
●30万円未満の少額減価償却資産の特例が利用できる。
青色申告事業者は、30万円未満の少額減価償却資産を年間合計300万円まで一括で経費計上できる。

デメリット

事業所得のデメリットは、確定申告が必要な事。
まず、個人事業の開業届を税務署に提出する。
青色申告特別控除(最大65万円)を受けるには、複式簿記で記帳を行う必要がある。

雑所得のメリット・デメリット

雑所得とは、給与所得や事業所得、不動産所得など9種類の所得に、当てはまらないものをいう。

メリット

雑所得の場合、事業所得と違って、取引の帳簿付けをする必要が無い為、仕訳は不要。
給与以外のその他の所得(副業収入など)がある場合、1月1日から12月31日までの収入から経費を引いた金額が年間で20万円以下なら、所得税の確定申告不要。

デメリット

雑所得の一番大きなデメリットは、副業で稼いだ所得が雑所得の場合は、給与所得との損益通算はでき無い点にある。

それ以外のデメリットは以下の点。
●給与以外のその他の所得(副業収入など)がある場合、1月1日から12月31日までの収入から経費を引いた金額が年間で20万円超なら、所得税の確定申告が必要。

●雑所得では白色申告しか使えない。

雑所得の場合の税金及び確定申告

税金

副業を事業所得で処理するか、雑所得で処理するかで節税効果は大きく異なる。
雑所得の場合、事業所得では使えた以下のメリットが使えない。

●損益通算
●青色申告特別控除

損益通算

副業が赤字50万円の場合、事業所得であれば、給与所得から赤字50万円を差引(損益通算)できるが、雑所得の場合、赤字がいくらであろうが、雑所得は0円とみなされ、給与所得から差引(損益通算)できない。

従って、事業所得であれば、赤字金額×15%(所得税5%+住民税10%)~の節税効果があるが、雑所得の場合、節税効果は0円だ。

青色申告特別控除

事業所得の場合、青色申告特別控除(最大65万円)が受けられるので節税効果が高い。
しかし、雑所得の場合、白色申告しか使えない。
白色申告には青色申告のような特別控除はない為、単な記帳による収支内訳書の提出のみで済むので、青色申告に比べると手間が楽。

確定申告

給与以外のその他の所得(副業収入など)がある場合、1月1日から12月31日までの収入から経費を引いた金額が年間で20万円超なら、所得税の確定申告が必要だ。

税務署の見解

税務署に問い合わせてみた。
まだ、改正案の段階で、税務署には何ら指示が来ていないとのこと。

申告方法はどうなる?

現在、副収入(=売上)は300万以下だ。
副収入(=売上)が300万以下の場合は雑所得⇒白色申告しか選択肢がなく、300万円超の場合は事業所得⇒青色申告が可能だが、今後のこと(売上が300万円を超えた場合)もあるので、雑所得の場合も複式簿記で記帳するのは構わないのだろうか?

これに関しては、複式簿記が推奨とのこと。

確定申告

確定申告はe-Taxで行っているが、申告時に売上が300万円超なら事業所得、300万円以下なら雑所得の計算に進むようになるのではないか?

いずれにしてもe-Taxでの申告は1月16日からなので、改正案がパブリックコメントを経て確定したら、それまでに国税庁が準備するのであろう。

300万円以下の副業は雑所得になると税金・確定申告はどうなる?【まとめ】

事業所得のうまみは「損得通算」や「青色申告特別控除」等にある。
一方、雑所得にはこれらのメリットはない。
従って、副業の収入が300万円以下で事業所得扱いにしていた人には、今回の改正にはデメリットしかない。

年間収入が300万円(月額25万円)超は、もはや副業とは言えないのではないか?
近年、企業(というか政府)は副業を押す流れがあったが、真逆の改正である。

事業収入が300万円超で赤字(経費が収入以上)というのも通常は考えにくい。
国税庁としては、規模の小さい副業からもしっかり税金を取ろうということであろう。

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